リンパ脈管筋腫症(LAM)の症状
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中にはこういった症状があらわれず、健康診断で発見される場合もあります。腹部超音波検査や婦人科検診で腎臓や後腹膜※1の腫瘍、あるいは腹水※2などが見つかったことをきっかけに診断されることもあります。
*2 腹水:腹腔という腹部の空間に異常に液体がたまった状態
*3 気胸:肺の一部に穴があき、胸腔という胸部の空間に空気がたまった状態
*4 乳び胸水:リンパ管から脂肪を多く含むリンパ液(乳び)がもれ出て胸腔にたまった状態
*5 喘鳴:肺の中の空気の通り道が一部狭くなっているために、呼吸のときにゼイゼイ、ヒューヒューと鳴る音
*6 乳び腹水:リンパ管からもれ出た乳びが腹腔にたまった状態
LAMに合併(一緒に発生)することが多い病気
LAMが直接の原因ではありませんが、肺機能が低下することにより心臓に負担がかかり、肺高血圧症や肺性心(肺へ血液を送り出す心臓の右心室に負担がかかり、右心室が大きくなったり働きが悪くなったりする病気)になることがあります。
なお、TSC-LAMの患者さんは結節性硬化症を伴っていますので、結節性硬化症に伴うさまざまな病気を併せもつことがあります。
リンパ脈管筋腫症患者さんの肺
肺は肺胞という小さな空気のふくろが集まってできていて、肺胞を流れる血液に酸素が取り込まれます。
肺でLAM細胞が増殖してもともと細い空気の通り道がさらに狭くなると、その部分が一方向弁として働き、肺胞の中に空気がたまっていきます。またLAM細胞は肺を壊す酵素を作るため、肺胞が壊れてのう胞(空気溜まり)ができ、さらに空気がたまっていきます。そうなると、吸い込んだ空気をうまく肺から吐き出せなくなるため息切れを起こします。
肺胞にたまる空気が増えてくると肺の組織はさらに破壊され、「ブラ」や「ブレブ」と呼ばれる空気のたまった小さな隙間やのう胞が増えていきます。
LAMが進行すると、肺の中の血管の総断面積が減ったり血液中の酸素が少なくなって心臓が余分に働いたりして、肺高血圧や肺性心などを引き起こします。
リンパ脈管筋腫症の症状の変化
LAMの進行のスピードは患者さんによって異なりますが、一般的にはゆっくりと進行していきます。病気が進行するのにつれて呼吸機能が低下し、息切れなどがみられるようになります。約2割のLAM患者さんは在宅酸素療法を行っていますが、長い間、呼吸機能が安定している患者さんもいらっしゃいます。85%の患者さんが、LAMと診断されてから10年後に生存していることが日本国内の調査でわかっています。
気胸や腎血管筋脂肪腫など、LAM以外の病気を伴う場合は、その病気に対する治療が必要となります。
新潟大学医歯学総合病院 魚沼地域医療教育センター | |
髙田 俊範 先生 |